新軍事ドラマ:「中隊本部」
どこにでもある(?)陸上自衛隊普通科中隊の日常を描く
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国民の御盾とならん:32
整備だ荷物の積載だと色々終わらせて、中隊は2日後に駐屯地に帰ってきた
来た時と同じくC-1で運ばれ、駐屯地では連隊挙げての出迎えを受けた
連隊長への報告を済ませ、車両から荷物を卸下して簡単な整備をする。今日は早めに終わらせて本格的な整備は明日からだ
15時には終礼隊形で集合し、出動間にあった連絡事項を先任が読み上げ、運幹が明日の業務内容を指示する
「…あと、新聞記者とかマスコミの関係者が駐屯地周辺をうろついているらしい。よけいな事は言わないよう、取材は全て連隊広報の方を通すように言ってください」
簡単な注意事項が終わり、中隊長が前に立った
「長い事ご苦労さん、家族が待つ者は早く帰って奥さんや子供を安心させてやれ。営内者はゆっくり休め。飲みに行くのもいいが、飲み過ぎていらん事せんようにな」
そして中隊は解散となった

「近いうちに小隊で飲み会やるから、そのつもりでな」中隊が解散し各小隊の終礼となった。神野1曹が小隊の面々にこう告げる
「今日はやらんのですか?」とこちらは井上3曹「営外者は家族サービスが優先だろ」
「ほな今日は有志で飲みますか。クラブでええかな?」「あ、じゃあオレも行きます」「私も~」と何人かが手を上げる
「小隊長もどうです?」「え…行っていいの?」陸士に誘われ戸惑う森口3尉「当たり前ですやん。ぜひ!」と井上が嬉しそうに言う
「お前…小隊長を財布にするつもりじゃなかろうな?」神野に言われて慌てて首を振る「嫌やな~そんな訳ないですやん」
「まぁまぁ…じゃ、お邪魔させてもらおうかな?」「他の小隊の連中も誘いますわ、ほな1830にクラブ集合で」

開店時間である1800時の少し前に小野3曹は隊員クラブを訪れた。店の中で開店準備をしているのは恋人の祥子さんだ。
「あ、小野さん…お帰りなさい」そう言って微笑む彼女の顔を見て、小野は少し顔を伏せた
「よかった~元気そうで、ニュースとか見てたらいろいろ危なかったみたいですね」「…」少し躊躇うようなそぶりを見せる小野、しかし意を決したように顔を上げる
「祥子さん、話があるんだけど…聞いてくれるかな?」「え?えぇ」キョトンとする彼女の目をしっかりと見据えて、小野は口を開いた
「オレたちの仕事は命がけになる時もある、ってのは知ってた。でも、今回は一歩間違えたら本当に命がけだったんだ」「えぇっ…ホントに?怖かったんですね…」
「いや、それが怖くはなかったんだ。あの時はちょっと興奮してたかな?任務のことだけ考えてたんだ。でも…」小野は頭一つ以上小さい彼女の両肩を掴んだ
「帰ってくる時に危険な状況になって、そのとき思ったんだ『最後に何か言い残したい人は誰か』ってね。で、それは祥子さんだったんだ」「…」彼女は無言で小野の話を聞いている
「オレにとってあなたがどういう人なのか、やっとわかった。だから…結婚してほしい」

一瞬驚いたように息を飲む彼女「え、あの…」「いや、いい!すぐに返事しなくてもいいから、嫌なら嫌って…」「いえ、嫌なんかじゃないです!」彼女の大きな声に今度は小野が黙り込んだ
「いいんですか?私って年もそんなに若くないし、それに子持ちだし…」
「年っていうならオレだってそうさ、もう営内生活を10年もやってんだし…それにそもそもあの子がいなかったら、オレたちは出会うことも無かったんだよ?」そこまで言って小野は彼女の肩から手を外した
「まぁその…前向きに考え」「一つ、お願いがあります」真剣なまなざしで彼女は小野を見上げた
「『最後に言い残す言葉』なんて考えないで、何があっても最後は必ず私たちのところに帰ってきてください…」「じゃあ、祥子さん…」
彼女が小さくうなずいた「こちらこそ、よろしくお願いします」

嬉しさのあまり叫びそうになるのをこらえる、しかしそこで小野はハッと気づいた「あ、ゴメン、こんなところでプロポーズなんて…しまったな~もっとロマンチックな場所にすれば良かった!」
そう言って頭を押さえ天を仰いだ。その様子を見た彼女が一歩歩み寄る、そして小野の胸に顔を埋めた
「そんな器用じゃないところも、好きです」胸にかかるかすかな重み。返す言葉を失った小野は、そのまま彼女の細い肩を抱きしめた

(う~ん、ドラマやなぁ…まさかこんな現場に居合わすとは)(じゃのう…出て行けんようになってしもうたわい)カウンターの後ろで息をひそめているのは、宴会代の交渉で一足先に来ていた井上と隊員クラブの権藤店長だ
(ま、若いもん同士がくっつくのはいいもんじゃ。ワシの若い頃はなぁ…)
(長話やったら後でいくらでも聞きますから…で、どないです?今日の宴会代。目出たい話もある訳やし、3000円くらいにまけとって下さいよ)
(うむ…)少し考えるように店長は屋根を見上げた(よっしゃ、お前らの生還祝いも兼ねてじゃ。パ~っとやったれ!)(おおきに♪)
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

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