新軍事ドラマ:「中隊本部」
どこにでもある(?)陸上自衛隊普通科中隊の日常を描く
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国民の御盾とならん:31
「暴徒を押しとどめる技術、お見事でした」森口3尉が言った
「どうも私はあなた方の足を引っ張ってしまったようで…」と顔に苦笑いを浮かべると、曹長がにやりと笑い首を横に振った
「オレはずっと輸送機からあなた方小隊の動きを見てたけどね。まぁアンタの指揮はそう悪いもんじゃないと思うぜ」階級は上でも年齢も経験も曹長の方が上だ。プライベートの場では自然と口調も軽いものになる
「そうですかね?あのバンに行ったのは正しかったのか、今でも考えているのですが…」「まぁ確かにビックリしました」とこれは小隊陸曹の神野1曹だ
「あの行動が正しいかどうかは人によって見方が変わるだろうな。部下を指揮する事が仕事の幹部として見たらマズいかもしれん」と腕を組む曹長
「でもな、アンタは判断と決断が早い。それに行動力もある。そこは大事なところだ。だろ、神野?」「まぁ我々が迷うことはないですね。ビックリはしましたが…」
曹長は森口に近づいてポン、と肩を叩いた「オレたちが暴徒を追っ払ってる時も後方に下がらず待ち構えてただろ?なかなかガッツがあっていいな」
「まぁアレは半分意地みたいなモノで…もしかして邪魔でしたか」「いや、そうでもない。正直言うといてもいなくても同じだったのは確かだけどな」
と言って曹長は笑った「あのまま輸送機を先に出してオレたちは現地に残るつもりだったんだがな。C国語を話せる要員もいたし、そのための脱出経路も確保してたからな」曹長が後ろを振り向くと、後ろにいた特戦群の隊員の一人が軽く手を上げた。彼がC国語を話す要員らしい
「曹長、そこまで話していいんですか?」と神野が心配そうに言った「この小隊長さんなら大丈夫だろ、ちったぁ上官を信用しな」そう言って曹長は森口に向き直った
「実は向こうに着くまではアンタの事をあんまり信用してなかったんだ、ちょっと頼りねぇなって思ってた。でもアンタは現地で化けた、自信もっていいと思うぜ」
「そ、そうですか…」褒められてなんだか背中がかゆくなる「ありがとうございます、え~っと…曹長」

少し考えて曹長が口を開いた
「船坂、です。特殊作戦群所属、船坂曹長」「曹長、名前を言っちゃっていいんですか?」慌てたのは神野だ
「かまわんさ、もしかしたらこの人とは長い付き合いになるかもしれんしな」そして腕時計に目をやった「そろそろ迎えが来る時間だ。それじゃ、お先に失礼しますよ」
「あ、船坂曹長…」森口が声をかけた「ありがとうございます」と言って頭を下げる
「お礼を言われるような事はした覚えが無いんですがね」と苦笑いを浮かべる船坂「それじゃ、失礼…神野、習志野に来たら連絡をしろよ?G小隊の連中が飲みたがってるぞ」
「了解、お疲れでした」
そして船坂とその部下たちは薄暗い基地の中を消えていった

「それじゃ、お疲れさまでした小隊長。自分もそろそろ寝ます」「あ、お疲れでした」その場から立ち去る神野、と立ち止まり振り向いた
「また今度、みんなで飲みにいきましょう。今回の打ち上げも兼ねて」なんだか満足そうなその顔を見て森口は内心喜んだ
(やっと…受け入れてくれたかな)幹校を出てすぐの小隊長がそう簡単に信用される訳がない。今までどこか距離を置いて接してこられたような感じがしてたが…やっと小隊長として認められたような気がした
「そうですね、パーッとやりますか!」そう言うとにやりと笑い、神野は隊舎の中に入っていった

虫の音が鳴り響く中、さっきまでの妙な高揚感が消えていくのがわかった。残ったのはやり通したという満足感、そして…一気に疲れが襲ってきた
「さて、オレも寝るかな…」誰が聞くでも無く一人つぶやき、軽やかな足取りで部屋に戻っていった
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

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