新軍事ドラマ:「中隊本部」
どこにでもある(?)陸上自衛隊普通科中隊の日常を描く
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国民の御盾とならん:27
ふわり、と体ごと浮かび上がるような感覚と同時にタイヤの軋む音が消えた
無事に離陸したのだとわかると、やはり緊張が解けていくのがわかった
(無事、離陸したか…)一安心といった感じで1番機の座席に座った田浦2曹が息を吐いた
避難してきた一般市民を先に乗せたため、田浦たち中隊の面々は後部座席にまとまっている
離脱間際の爆発音に不安そうな表情を浮かべていたが、離陸して一路日本に向かうとなった今の状況でさすがに余裕が出てきたらしい。大きなエンジン音が鳴り響く中、大声を張り上げて隣りと話す人もちらほら出てきている
(良かった…これで仕事も終わりか)そう思い一息ついたところで隣りから腕をつつかれた
振り向くと赤城3曹が何やらメモ帳を見せてきた。そこには『2番機の皆さん、大丈夫でしょうか?』と女の子らしいまるっこい文字で書かれていた
それを見て少し笑う田浦、そしてメモ帳を受け取るとペンを取り出した。少し考えてからメモ帳に書き込む
『大丈夫だよ、中隊長もいるからね。帰ったらまたみんなで飲み会しよう』メモ帳の端にジョッキで乾杯する人の絵を書き加えてそれを見せると、赤城の顔がほころんだ
(あぁ、こういう顔をするとけっこう可愛いんだな)今まで後輩としてしか見ていなかったが、女性としてみるとまた別だな…などと考えたりする
赤城も受け取ったメモ帳に何かを書き込もうとしている…だが急に顔を伏せてそのページを破って丸めた
(何を書こうとしたんだろう?)覗き込む田浦から目をそらすように首を向ける赤城であった

「中隊長、良くない状況だ」離陸してしばらくたった2番機の機内もどこか安心したような空気が流れていた。そんな中、2番機の機長であり輸送飛行隊の隊長でもある仁科2佐に呼ばれて操縦席に入った中隊長と森口3尉。開口一番機長にそういわれて思わず身構える
「何事ですか?」「東シナ海上空で待機しているAWACSからの情報だが…C国空軍の戦闘機、SU-27フランカー2機に追尾されている」思わず二人は顔を見合わせた
「後方30kmを等速で追尾してきています。目的は不明、交信にも応じません」副操縦手があとに続く「我が国のADIZ(防空識別圏)まであと30分、そこまで行けば上空待機中のF-15と合流できます」
「いったい何で…」とつぶやく森口に「向こうの国も一枚岩ではない、って事だ。日本を快く思わない勢力もいるんだろ」と中隊長が答えた
「万が一の場合は…」仁科が言いかけて口を閉じた。その先は言われなくてもわかっている「了解しています。仕方ありませんね」中隊長の言葉に仁科はうなずいた
「我々も全力を尽くすが、最悪の場合は1番機を逃がすための囮になる。そのつもりでいてくれ」二人はうなずいて操縦席をあとにした

「…と言ったはいいが、どうすっかな」珍しく中隊長が迷っているのは、今の状況を中隊の面々に伝えるかということだ
「なぁ森口、お前はどう…」「言うべきです」きっぱり言い切った森口に中隊長が意外そうな顔を向ける
「そうか?無駄に動揺させたくないんだよな。あと30分なんだから…」「大丈夫です、中隊長」しっかりと顔を見据えて森口は言った
「彼らはこの程度で動揺なんかしません。みんなプロです。現状は知らせるべきで、万が一の対応もさせるべきです」
驚いたような顔をした中隊長が口を開く「お前…いや、いい」何かを言いかけてそれを打ち消すように手を振った
「わかった、小隊陸曹と各分隊長を集めろ。オレから現状を伝える」「了解」
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

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