新軍事ドラマ:「中隊本部」
どこにでもある(?)陸上自衛隊普通科中隊の日常を描く
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国民の御盾とならん:23
バンに到着した小隊長の森口3尉はフロントガラスから中を覗いた
運転席に突っ伏している人影は、同じようにピクリとも動かない
「こっちから入るよ、気をつけて」「は、はい」分けもわからず連れてこられた橘士長がおっかなびっくりといった感じで後を付いてくる
車体中央のドアに手をかけて一気に開ける。中に入ると車体後部の方は完全に破壊されていた
運転席の方に目を向けると、通路に一人の男が倒れていた。うめき声を上げているので、死んではいないようだ
「おい、大丈夫か!」男に近づき声をかける。頭や体から血を流してはいるが、致命傷は見当たらない「橘士長、処置してあげて」「はい!」
橘が医療嚢から包帯を取り出し、出血している頭に巻き付ける。その様子を見ながら森口は運転席に向かった
運転席にはさきほど確認した運転手が同じ姿勢で突っ伏していた「大丈夫か!?」声をかけながら近づきかがんで顔を覗き込んだ
「女か…」その運転手は女性だった。その細面の顔に一筋の血が流れている。腕を取って脈を計るとしっかりと鼓動が確認できる。口に手を近づけて呼吸も確認
「小隊長!処置終了です」橘が運転席に入ってきた「じゃあ次は彼女を頼む。意識は無いけどバイタルは確認したよ」
橘が女性のそばに寄って処置を始めようとしたそのとき「$@#*!」現地語で何か怒鳴りながら、紺色の制服を着た男が運転席に飛び込んできた
「きゃっ…」思わず橘が身をすくめる「&%>*@~!!」男は険しい顔で森口の顔を指差した
「わ、ちょっと待っ…wait!wait a moment please!」拙い英語だが何とか通じたようだ。男が同じように拙い英語で話しかけてきた
『何があった?君たちは誰だ?』『我々は日本の自衛隊の隊員です。この車はRPGの攻撃を受けました。デモ隊の攻撃です』
男の視線が橘の左手にある赤十字腕章に向いた『メディック(衛生兵)?』『はい』『彼女は生きている?』森口は橘に声をかけた
「彼女の状態は?」「大丈夫です、命に別状はありません。脳震盪と外傷…たぶん、腕は骨折しています」森口はそのまま男に伝えた
『彼女の命は大丈夫ですが、怪我をしています。意識は…』そこまで言った時、女性がうめき声を上げてうっすらと目を開けた
「……%&?」男が女性に呼びかけた、そして現地語で何やら短い会話を交わす。その顔が次第に穏やかなものに変わっていった
振り向いた男が運転席の外に何やら声をかけると、何人かの現地警察の隊員が運転席に入ってきた。そして彼女を運び出して行った

『…ありがとう、日本人』男が手を差し出した『気にしないでください。我々は戦いにきたのではありません』そう言って森口もその手を握った
『君の名前は?』『私は…私は日本国、陸上自衛隊の森口少尉です』階級を口にすると、男の目が少し驚いたように開いた。若く見えるのでもっと下の階級と思ったのかもしれない
男も名乗った『人民武装警察、キャプテン・チャンだ』「キャプテン…大尉!?」ウチの中隊長と同じ階級かよ!と内心驚く
『森口少尉、気をつけろ』チャン大尉が口を開いた『暴徒が再び集結している。だが我が部隊は空港ビルの警備でしばらく動けない』
『しばらく…どれくらいですか?』『約10分』『了解、ありがとうございます』最後にsirを付けると大尉の顔がほころんだ
『少尉、部下をありがとう。幸運を祈る』そう言い残して大尉は踵を返し、運転席から出て行った
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

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