新軍事ドラマ:「中隊本部」
どこにでもある(?)陸上自衛隊普通科中隊の日常を描く
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国民の御盾とならん:21
時間は少しさかのぼり…
1番機から遅れること数分、2番機が着陸し1番機の後方200mの位置に着いた
ビルの影になって柵の外の状況がよく見えていない1、2小隊と違い、外柵から丸見えの位置にある2番機は到着直後から少し危険な状況に直面した
「…デモ隊多数、外柵沿いで示威行動中…100から150名といったところかな」輸送機の小さな窓から外を伺う神野1曹
「武装はないようだけど…」と小隊長・森口3尉の問いに「そりゃそうでしょう。ただのデモ隊ですから…しかし現地警察が張り付いてないのはどういうことだ?」
柵には荷物の搬入用らしき大きなゲートがあり、そのゲートを破壊すれば空港内にデモ隊が侵入する事も十分可能だ
「…マルサン、了解」小隊長が無線機のマイクに手にした。そして小隊に顔を向ける「総員、ゲート前100mの位置で警戒配備!」

C-130の後部ランプが開き、小隊は盾を構えつつ機外に出た
輸送機の位置はゲートから約200m、その中間地点に小隊を配置して警戒線を構築する。軽く駆け足で警戒線の位置に到着した小隊
「1、2分隊は正面に展開、各人間隔5m!」小隊長の指示により分隊が展開を始めた
2個分隊を正面に、1個分隊を重畳に配置。小隊長以下小隊本部は1、2分隊の中心で指揮を執る「…けっこう激しいな」双眼鏡でゲート方向をにらみつつ、神野が口を開いた
小隊の展開に合わせてゲート前にいるデモ隊の動きが活発になってきた。飛行場内に石やゴミが投げ入れられ、鉄柵を揺らし押し倒そうとしている者もいる
「あ、火炎瓶や…」狙撃手として小隊長のそばに付き従っている井上3曹が視線を向ける。即席で作ったせいか、火炎瓶が割れても液体は燃え上がらなかった
とはいえ状況はあまり良くない「早く現地警察の応援を…」「今、連絡してるが…なかなか来ないみたいです」無線機のマイクを握り小隊長が答えた
「初弾装填…」井上が89式の槓桿に手をかけた「いや、まだだ」神野がそれを制する
「まだ大丈夫、これだけの距離があれば投石も届きません」ゲート方向を見据えて小隊長が口を開いた
「”S”の狙撃手が輸送機の屋根に上がって全周警戒をしています。情報は逐次上がってきますよ」とこれは神野だ
「なんか…激しいですね」小隊付きの衛生救護員である橘士長が肩をすくめる
「オレらの後ろに入っときや。その腕章も暴徒には意味ないで」井上が橘の左手にある赤十字腕章を指した。本来の戦争であれば攻撃の対象外になる衛生兵だが、暴徒相手にその理屈は通じないだろう
「わ、わかりました」緊張した面持ちで橘は小隊長たちの後ろに回った

数十分が経過し、こちらが特に動じた様子を見せなかったためかデモ隊の動きも沈静化してきた
もう投げるものが無くなったのか、脱いだ上着を振り回しながら罵声らしき声を発するくらいになってきた
「あの白シャツ…それと横にいる上半身裸の男、あの二人が煽動してるようです」と神野が小隊長に報告している「いざという時はあの二人を優先的に排除する…と”S”の方からは言ってきてますね」
その無線は小隊長も聞いている「排除…か」小隊長の口調も重い
もしここで射撃をする事になったら、C国の国民に死傷者が出たら…自衛隊始まって以来の「実戦」状態、果たして部隊は戦えるのか…そしてなにより、自分の指揮は大丈夫か
様々な考えが頭をよぎるが、顔だけは平常を保つように努力している。指揮官は顔に責任を持たなくてはならない…幹部候補生学校で教官に言われた事を思い出す
『マルサン、こちらアルファ。邦人の受け入れ完了、離脱準備に入る』中隊長からの無線が入り、小隊長と神野もさすがにほっとした表情を見せた
「あと少しですね」口元を少し緩め神野が言った「えぇ、このままで行けば…」小隊長も口を開く
が、視線の先に何か妙な動きを感じ言葉を切った
「…井上3曹?」「えぇ、なんやろな…」デモ隊の一部が後ろに目を向けて何やらざわついている。その部分だけ徐々に人が離れていってるようにも見える
『マルサン、こちらシエラ2…デモ隊内に異常兆候あり』シエラ2…デモ隊を監視している特戦群の狙撃手だ「小隊長、現地警察の車両が接近中です」
神野の指した方に視線を向けると、空港ビルの方から1台のトラック…というよりバンの用な車両が接近してきた
「やっときたか」そうつぶやくと視線をデモ隊の方に戻した

その瞬間、デモ隊の中にとんでもないモノを目撃した
ゲートの隙間から空港内に向けられているのは、長い筒の先に付いた淡い緑色をした菱形の物体…まさか
『RPG確認!』「RPGや!」シエラ2と井上が叫ぶのと同時に森口も「RPG!!」と叫んだ

その瞬間、RPGが火を噴いた
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

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