新軍事ドラマ:「中隊本部」
どこにでもある(?)陸上自衛隊普通科中隊の日常を描く
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国民の御盾とならん:12
内蔵が浮き上がるような感覚と着地の衝撃、タイヤのきしむ音が響き、数時間の空の旅は終わった
南国九州の太陽がC-1から降りた隊員たちを容赦なく灼き上げる
「あつ…」「さすが九州…」決して乗り心地がいいとは言えないC-1に揺られて疲れ気味の隊員にはこの日差しはキツい
「おい、こっちだぞ。なにしけたツラしてんだお前ら…」滑走路脇の大きな倉庫で手を振るのは、武器や装備品と一緒に輸送隊のトラックで先行していた補給陸曹の鈴木曹長だ
他にも火器陸曹の高木2曹、通信陸曹の岡野2曹らが待っていた
「運幹、先任もお疲れ」「お疲れさん、で…」運幹と先任が管理事項を申し受ける「宿泊場所は…武器や装備品の保管場所は…」
「了解、じゃあ中隊に指示出しますか」倉庫の中で中隊全員を集合させて、細かい指示事項を達する
「今日は宿泊準備をして終礼だな」と中隊長の指示で宿泊場所に荷物を移動させて終礼、その後に運幹から指示があった「各小隊長と小隊陸曹は1830に集合、場所は…」

「こ、これは…」「こりゃすごい、よく作ったな~」
運幹の指示で小隊長たちが集まったのは、T基地の作戦司令室…の一角。テニスコート2面分ほどもあろうかという部屋に置いてあるのは、C国の主要空港の砂盤…というか模型だった
主要都市の国際空港や大規模な空港の模型が全部で15個ほど、一つの大きさは約2畳、その中の2つの周りに椅子が並べてある
「おい、こっちだ」椅子に座った中隊長と運幹が小隊長たちを手招きする。その隣りには空自の迷彩服を着た幹部が数名…おそらく輸送機のパイロットだろう
そしてその隣りに…「…なんか、いますよ」「何だありゃ?」陸自の迷彩服、階級章は曹長…だが胸に縫い付けてあるはずの名札が無い。そして右胸に空挺徽章とレンジャー徽章、その上に見た事の無い小さな徽章が一つ
しかしその曹長の異様さはそんなところではなく、その顔…というか顔をすっぽり隠している黒の目出し帽だ「テロリスト…っぽいですね」と森口3尉は口走った
「さて、関係者全員がそろったところで戦闘予行を実施する。が、その前に…」中隊長がチラッと空自のパイロットの方に視線を向けた
「あぁ…私は航空自衛隊、第1輸送航空隊所属、仁科2佐です」パイロットの中で先任者と思われる初老の男性が席を立った
「階級は私の方が上ですが、現場での行動は氷室1尉に指揮を一任します。よろしいですね?」「了解です。それと我が陸自の方ですが…」中隊長が各小隊長や医官の宮本1尉を紹介する
「そして最後に…」全員の視線がテロリスト風の曹長に向いた。目出し帽の影響で声がくぐもるが、しっかりと響く声で曹長が話し始めた
「陸自、特殊作戦群より来ました。市ヶ谷の通達により皆様に顔と名前は明かせません。ご了承ください」その場にいた何人かが息を飲んだ「特戦群…」「S部隊…」

陸自初の特殊部隊として知られる「特殊作戦群」しかしその全容は部内の人間にも杳として知れず、いろいろな噂ばかりが流れている状況だ
隊員の顔も名前も秘密事項として扱われ、素養試験は空挺レンジャー出身者でさえ泣きを見るほど厳しく、その教育課程すら「特殊作戦課程」という名前が服務小六法に載っているだけ
空挺徽章の上に付いているのは「特殊作戦徽章」らしいが、小六法以外で見るのは皆初めてである

「ウチからは私を含めて6名来ています。各人の特技能力等はまた必要な時期に示します」それだけ言って曹長は席に座った
「彼らは非常事態発生時の予備要員です。私も空挺にいたので特戦群の能力はある程度掌握しています、運用面に関してはご安心を」おそらく空自の隊員に向けて中隊長が言った
「さて、それでは予行を実施する。運幹、説明を」「は、それではますこの写真から…」運幹がおそらくは衛星から撮ったであろう写真を差し出した

C国B市にある国際空港、そしてほど近い郊外にある国内線専用であろう空港、この二つの空港が現在のところ邦人が避難するに最適であろうと考えられている。そしてC国政府との調整もその線で進んでいる
どちらになるかはまだ不明だが、そのどちらでも対応できるよう予行を実施する
とはいえ基本的な動きは変わらない。訓練通り第1小隊が保安検査、第2小隊が輸送機までの誘導、第3小隊が予備である
輸送機はC-130を2機使用、1番機に1・2小隊が乗り込み空港施設に横付け、そのまま施設周辺および内部に展開。3小隊は2番機の機内でいつでも動けるよう待機
邦人の数は約60名+荷物、全員と護衛に当たった2小隊の一部を1番機に乗せて搭乗しだい離陸。その後1・2小隊の面々を回収して2番機も離陸、一路九州のF空港へ向かう…というのが基本的な行動だ
「もしこの時点で暴徒が空港に侵入してきたら?」「現地警察に一任するのが一番だが…」「やはり銃器を使用する必要があるのでは…」細部の動きを煮詰め、コレで大丈夫となったときに中隊長が口を開いた
「今日の予行通り、明日と明後日は訓練を実施。午前中は輸送機を地上に停めたままで、昼からは実際に輸送機を運用して各小隊の行動を徹底する。では解散」

「曹長、お久しぶりです」神野1曹が特戦群の”曹長”に声をかけた「…神野、神野か!久しぶりだなぁ」”曹長”が嬉しそうに声を上げた
「お前ほどの男が普通の普通科でくすぶっているとはな…勿体ない。どうだ、Sに来る気はないのか?」「いえ、さすがにもう30も後半になると体がついていきませんよ」と笑う神野
「俺なんかもう厄年だぞ?まだ行けるさ。まぁお前がいるなら今回のミッションも大丈夫だな」そう笑って”曹長”は去っていった
「神野1曹…あの人と知り合いで?」森口が聞いた「えぇ、空挺にいた時の知り合いです。いろいろと教わる事も多かった…」と遠い目をするが、すぐに森口に向き直り「申し訳ないですが細かい事は言えません」と頭を下げる
「いえ、そこまで知りたいわけでは…」と手を振る森口であった
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

コメント
この記事へのコメント
段々緊張感が増してきましたね。
Sの方々ですが、IQの時にもいたと聞いてました。
どなたかとかは聞きませんでしたが現地では心強かったです。
8月になってやたら暑くなっきて執筆お疲れ様ですが
無理をなさらずに。完結を楽しみにしております。
2008/08/07 (木) 22:42:15 | URL | #-[ 編集]
らしいですね、噂は聞いてます
というか小説にも出てたので決定的かと…

とはいえSの話なんて自分もほとんど知りません
ほとんど「想像上の生き物」みたいなもんで…
だから完全にフィクションなんで、本職の人は笑ってください
2008/08/09 (土) 11:58:43 | URL | 笑う三警補 #0ywrcfEE[ 編集]
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