新軍事ドラマ:「中隊本部」
どこにでもある(?)陸上自衛隊普通科中隊の日常を描く
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国民の御盾とならん:8
翌日…出動準備が始まった
まずは物品の準備、そして任務にあわせた訓練の実施だ


とはいえまだ出動するかどうかもわからず、どのような任務になるかも不明な状況なので、訓練といっても限定的なものになってしまう
まずは出動時の権限の座学から…
「…武器の使用については『正当防衛』か『緊急避難』以外の場合では人に危害を加えることができないと…」教育を行うのは3小隊長の森口3尉だ
いつもは「座学=昼寝」な隊員たちも、今日ばかりはある程度真剣に聞いている。しかし退屈な法律のお話、頑張っても徐々に船をこぐ隊員が増えていく
「…以上で出動時の権限についての説明は終わります。何か質問は?」そこで田浦2曹が手を上げた「武器使用は結局『どう言う場合に何ができる』とかいう具体的な基準は無いんですか?」
「…う~ん、結局のところ『合理的に必要と判断される限度』ってのが曖昧で…各個人の判断を元に指揮官が命ずる、という形になるかな?」
納得したようなしてないような顔をする中隊の面々、そこで話を聞いていた中隊長が口を挟んだ
「上官の命令と自分の判断を信じろ、って事だ。今まで訓練を受けてきて、何が危険で何が安全かはよくわかっていると思う。最後の責任は俺が取るから安心しな」
少し笑いが起きて、座学は終了となった

「あれ?井上3曹は何やってんですか?」「見ての通り武器手入れやな」赤城3曹は武器庫の前で対人狙撃銃の手入れをしている井上3曹に声をかけた
「みんなが座学してる間にちょっと射場で撃って調整してきたんや。狙撃銃を使うかどうかはまだわからんけど、一応いつでも使える状態にはしとかんといかんやろ?」
「へぇ、けっこうマメなんですね」赤城に感心されて井上は少し顔を歪める「だから、射撃に関しては妥協はせぇへんねん。ほとんど唯一の特技やしな」
「でも武器使用の権限はどうのこうのって、さっきの教育で言ってましたよ?いいんですか?こんなでっかい銃を使って」
「さぁ?結局言われたら撃つだけやしな。そういや持っていく武器は小銃と拳銃だけらしいな」殺傷効果の高い機関銃はさすがに持っていけないことになった
「さっき教わったんですけど、邦人保護って現地政府の許可と協力が無いと無理らしいですね」
相手国の合意がなければ法律的にはおろか能力的にも自衛隊がその国に入る事はできない。邦人保護派遣は相手国の許可と治安がある程度いい状態でなければ実質不可能…その場合は米軍などに協力を要請する事になるが、自国民を優先する他国の軍隊がどこまで協力してくれるかは不明だ
「ニュースでも言ってたな。だから俺たちが出る可能性は低い…とも言ってたぞ」と田浦が話に加わる

昨夕の政府発表以来、C国絡みのニュースが一気に増えてきた。今まで自主規制でもしていたのかのように各地での暴動のニュースが繰り返し流れるようになった
自衛隊の派遣については賛否両論だが、賛成派の保守系メディアでも「派遣するのは自衛隊の能力的に厳しいのでは?」という意見が目立つ
反対派の革新系マスコミについても現状でいいとは思っていないらしく、渋々といった感じで現地の状況と「C国も対応に苦慮している」といったフォローのような報道を流している
結局「オリンピック閉会を待たずに、さっさと日本人全員を引き上げさせろ」という意見が現時点では主流だ
それを受けて中隊も「待機で終わりになるんじゃね?」という空気が少しではあるが流れている

「ま、それでも準備はしないとな」「そやなぁ」とはいえまだそれほど緊張感の無い中隊ではある
具体的な話がまだ出ていない事も原因ではあるだろうが…
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

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