新軍事ドラマ:「中隊本部」
どこにでもある(?)陸上自衛隊普通科中隊の日常を描く
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国民の御盾とならん:5
盆休み明けの中隊本部、先任の鈴木准尉が渋い顔で新聞を読んでいる
「おはよ~ございます」と入ってきたのは田浦2曹だ
「先任、どうしたんですか?渋い顔して…」「おぉ、おはよう田浦…」そう言って先任は新聞を机に置いた
「オリンピック、大変な事になってきたな。けっこうメダル取ってるけどあんまり喜べなくなってきたよ」やっぱりここでも話題はオリンピックだ
「そうですね、何事も無く終わってくれればいいんですけど…」「まぁ暴動も収まってきてるみたいだし、大丈夫じゃないかな?」
そう言って新聞を指差す先任「ほら、暴動の記事も小さくなってきたし、ニュースでもあんまり取り上げられなくなってきてるじゃない」
「…先任、ネットで調べたらそう楽観的にもなれないみたいですよ」「ネット?インターネットか」先任が首を傾げる
「えぇ、海外の報道だとけっこうヤバいみたいです。CNNとかのサイトを見ると、暴徒の対象が日本だけじゃなくてアメリカやEUにも向いてきてるとか…」
「そうなのか?何で?」「人権問題がらみでいろいろ言ってたからその報復じゃないですかね?日本のマスコミじゃあんまり取り上げられてないんですけど…」
「ふむ…」と考え込む先任「何にせよ、オリンピックは普通に楽しみたいもんだね。東京オリンピックなんてどれだけ盛り上がったか。子供心にあれは楽しかったねぇ」
「自分は最初に見たのはソウルなもので…」「世代が違うな」と先任は笑った
「先任、ちょっと4科へ行ってきます」と声をかけてきたのは補給陸曹の鈴木曹長と給養陸曹の川井2曹だ
「4科?なんかあったのか?」「それが電話じゃ要領を得ませんで…なんか物品関係の員数が知りたいとかなんとか」「コチラも、飯の依頼がどうとか…でも話がよくわからんのです」
「そっか、わかったらまた教えてくれ」「了解、じゃ、行ってきます」

帰ってきた二人の顔を見て、先任は(あ、悪い話だったな)と直感した
「先任…なんかきな臭いっつぅかマズい空気になってますね」開口一番、補給陸曹が言った
「いったい何事だ?さっき武器と車両も呼ばれて4科に上がっていったんだが…」「えぇ、4科で合流しました。呼ばれてるのはウチの中隊だけでしたね」
「で、何の話だった?」「なんか…」ここで補給陸曹の声が小さくなった「『誘導隊』として何か動きがあるようです」
「そりゃ…訓練で?」「そんな感じじゃなかったですよ。連隊本部で何か会議があるみたいです。師団の幕僚らしき人も来てて…」
補給陸曹がそこまで言った時、中隊長が事務室に顔を出した「先任、ちょっと運幹と一緒に連隊本部に行ってくるね」そう言って中隊長は去っていった
顔を見合わせる先任たち「…何だろうな」「…何でしょうね?」

中隊長が帰ってきたのはそれから1時間後、コチラも何やら渋い顔をしていた
そのすぐ後に中隊長室に呼ばれた各小隊長と先任、中隊長室から出てきた面々もまた同じように渋い顔をしている
「なんかあるのかな?」「非常呼集訓練とか?休み中にかからなくて良かった」と中隊に何やら噂が流れてきた
「なんかあったのかね?田浦、知ってる?」いろいろな人に聞かれるが、訓練陸曹を下番した田浦にわかるはずも無い
「さぁ…何か4科絡みでいろいろ動いてるみたいだけど」4科、すなわち補給関係の部署はモノを準備しないといけないため、部隊が動く前にその準備を始めるのだ
「つまり、何かあるのは確実じゃないかな?」としか言えない田浦であった

夕方…終令には少し早い1630に中隊の全隊員が終令場所に集合した
いつもなら連絡事項や命令下達が最初に行われるのだが、今日は何やら様子が違う
真っ先に中隊長が壇上に上がり、皆の顔を見回した
「注目、楽に休め」そう言って中隊長は壇上から降りて隊員に近づいた
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

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