新軍事ドラマ:「中隊本部」
どこにでもある(?)陸上自衛隊普通科中隊の日常を描く
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国民の御盾とならん:1
「あちー…」誰かのつぶやく声が耳に入り、田浦2曹はやや飛びかけていた意識を取り戻した
「三島『暑い』って言うんじゃないよ。よけい暑くなる…」そうは言っても8月の真夏の日差しが容赦なく照りつける状況はさすがにキツい

自衛隊法第84条の3
「防衛大臣は、外務大臣から外国における災害、騒乱その他の緊急事態に際して生命又は身体の保護を要する邦人の輸送の依頼があつた場合において、当該輸送の安全について外務大臣と協議し、これが確保されていると認めるときは、当該邦人の輸送を行うことができる」


この条文に基づき、通常「NEO(非軍事活動)」とも称される在外邦人の輸送を行う部隊が全自衛隊で編成され、その中で陸上自衛隊の各部隊持ち回りで「誘導隊」と呼ばれる部隊が編制されている
連隊は年度の頭からこの誘導隊の指定を受け、3ヶ月交代で各中隊が担当となり待機に当たっているのだ
7月から9月までこの待機任務に当たった第1中隊は、連日の暑い日差しのもと訓練を重ねている…

「…でもこの格好は暑すぎ…」と三島3曹がぼやくのも無理はない
通常の迷彩服・戦闘靴・鉄帽に加え、ニーパッドにエルボーパッド・防弾チョッキ(しかも2型)・ゴーグル、そして89式小銃を斜めに背負い、腰には銃剣と防護マスク、さらに手には透明の大きな盾を持っている
その格好で訓練開始から3時間、隊列を組んで立ちっぱなしというのはさすがの普通科隊員でも愚痴の一つも出ようというものだ
「まだ終わんないのかなぁ」とつぶやく田浦たちの後ろを、前後左右を隊員に囲まれた私服姿の数人がゾロゾロと歩いていった

今回の訓練は「某国の空港から避難してきた邦人を受け入れ、輸送機まで誘導し離脱する」という基本的な誘導隊の行動だ
空港の施設に見立てたグランドの一角で住民を受け入れパスポートなどのチェックを行い、そのままグランドの横に止めてある輸送機に見立てた高機動車まで誘導
全邦人の避難が終わったところで部隊も撤収し離脱する…という内容だ
邦人をチェックする保安検査場所の警備に当たるのは第1小隊と迫撃砲小隊の主力、輸送機までの邦人警護は第2小隊と対戦車小隊が担当する
戦闘任務ではないので迫撃砲や対戦車火器などの重火器は使用しない、そのため迫小隊や対戦車小隊は小銃小隊に配属されまとめて運用されている
そして予備として運用される第3小隊(+迫小隊の一部)は何をしているかというと…
「ニホン人は帰れ~」「襲っちゃうぞ~」空港の外柵に見立てたカラーコーンの外からチンピラ風の男たち…第3小隊の神野1曹以下約10人が野次を飛ばしている
そして保安検査場所で「なんでバックの中身まで見せなきゃなんね~んだ!」と隊員に絡むのは、同じく3小隊の片桐2曹
3小隊の面々は今回の訓練のエキストラ役をつとめている
「…うわ、井上3曹なんてカッコしてんだ」と三島があきれたように言う「ん?…あのヤロ、サンダル履きにハーフパンツって…軽く喧嘩売ってるな」
「涼しそうでいいなぁ…」という誰かのつぶやきにげんなりする面々であった
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

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