新軍事ドラマ:「中隊本部」
どこにでもある(?)陸上自衛隊普通科中隊の日常を描く
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挑戦のとき:その4(完)
「それでいきなり『外人部隊』か…極端だな」「そうっスかね?」
暗くなっていくサーキット訓練場で話し込むのは田浦3曹、井上3曹、そして退職間近の柴田士長だ
「前に雑誌で読んだ外人部隊の話が印象に残ってて…それでいろいろ調べて『行こう!』って思ったんスよ」力説する柴田士長
「親はどう言ってるんだ?普通は反対すると思うけどな」と田浦3曹
「まぁあんまりいい顔はしなかったっスね。でもウチの家族はみんな好き勝手やってるんで…親父は脱サラして小料理屋なんか始めるし、母はそんな父に愛想つかして離婚して…二人いる兄貴はミュージシャン希望とかサーファーとか…」
そういって苦笑いを浮かべる「ま、最終的には『好きなように生きたらいい』と言われました」

「ま、ええんやないか?」「え、おい、井上…」あっさりと言い切る井上3曹に驚く田浦3曹
「柴田はしっかりしとるし、そんなお前が本気で考えた進路なんやから大丈夫やろ」「お前、そんな無責任な」あきれる田浦3曹
「そうは言うけどな田浦、一昔前はもっと変なヤツがゴロゴロおったやろ。ほれ『起業家になる』とかって言って退職して、しばらくもせんうちに中隊の後輩に『融資』とやらを頼み込んだヤツ」
「あ~あ~アイツな…俺も金をとられるところだったよ」「他にも『パチプロになる』とかって言ってたヤツ、専門学校に入ってすぐに行方不明になって中隊に捜索願がきたヤツ…」
指折り数える井上3曹に「…それは…」と絶句する柴田士長
「そんな連中に比べたら柴田はまだマシ、つ~か立派なモンや」「あ、ありが…」
「ただし!」頭を下げる柴田士長を制して、井上3曹は続ける
「逃げ帰ってこんかったらの話やけどな。頼むから逃げてくんなよ?日本人と陸自の恥にはならんとってくれや」と言って笑う
「…だな。あと…死ぬなよ?どうせなら生きて帰ってきて、外人部隊仕込みの戦技を教えてくれ」とこれは田浦3曹
「はい、わかりました!」直立不動で頭を下げる柴田士長「じゃ、俺たちは先に上がるわ」そう言ってサーキット訓練場から去っていく陸曹二人
「…うぉ、あれ見てみぃや田浦」振り向いた井上3曹が田浦3曹の肩を叩く「へ?…うわぁ」
柴田士長が足にバーベルを引っ掛けて、ものすごい勢いで懸垂をやっていた。1回、2回…20回を超えるまでその勢いは衰えなかった
「アイツやったら外人部隊とかでも通用するんやないか?」「勿体ないな…ホント勿体ない」

柴田士長の就職は、中隊長の「本人の希望ならやむなし」とのことであっさりと決定
退職後しばらくは英語とフランス語の勉強をして、その後渡仏して外人部隊に入隊するという
「けっきょくは本人の希望どおり、でした」と山岸1曹
「それが一番じゃないかな?いくら若いっても、もう社会人なんだから」と先任
「退職後の希望がしっかりしてるヤツはまだいいよ、でも曖昧なヤツは困るんだよな…」「まったくですね。来年4月満期の連中には特に多いみたいで…」
若い力が必要な自衛隊、就職援護の悩みは終わらない…

~完~
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

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