新軍事ドラマ:「中隊本部」
どこにでもある(?)陸上自衛隊普通科中隊の日常を描く
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雪の進軍:その4
「…そろ~りそろりと、首締めかかる~どうせ生かして、還さぬ積り♪」雪の野原を踏みしめて進む仮設敵一行
覚えたての歌を口ずさみつつ、示されたポイントへ前進中だ
「あれ?そこは『どうせ生きては、還らぬ積り』じゃないんですか?」と聞いてきたのは山崎士長だ
「昔は『生かして、還さぬ積り』だったんだ」と近藤曹長
「昔の軍のお偉いさんが『還さぬ積り、とは上層部への批判か!』とか言い出して、今の『どうせ生きては、還らぬ積り』になったらしいぞ」
「へ~…」感心する山崎士長「…なんか、今のオレ達の心境もそんな感じです…」とボソリとつぶやく
「…だな」渋い顔で同意する近藤曹長であった

0200の夜襲の後、廠舎に帰ってきた仮設敵一行。しかし次の戦況現示が0700とあってはゆっくり休んでもいられない
ロクに眠りもしないウチにまた出発、今度は相手に見つかるように丘の上を歩き回る
それが終わって朝食を食べると、今度はまたも陣地に攻撃を仕掛ける…そんなこんなで昼過ぎのこの時間まで中途半端な休憩しか取れず、隊員の不満も疲労も上昇中だ
「なんでこんなに忙しいんだろ…」「寒い上に動くと汗をかくから、余計に体が冷えてくるよ」夕方になり廠舎に戻ってきた面々
雪は朝のうちに止んだが、曇り空で気温も上がらない一日だった。ストーブの周りで冷えた体を温める一行
「あの…近藤曹長」と声をかけてきたのは井坂2尉だ「…まさかまた夜襲ですか?」できるだけ冷静に言ったつもりだが、やはり声に嫌気が混ざる
「あ、いや、違うんだけど…」と言いにくそうな井坂2尉「…明日の朝、0630に全仮設をもって攻撃するんだけど…」
そう言って井坂2尉は演習場の地図を取り出した「この位置からこの丘にある陣地を攻撃する、でもここまで行くのに演習場外を通ってくれって話なんだ」
「演習場外…」地図を見る近藤曹長、廠舎から一番近い演習場の出口を探し、そこから一般道を通ってまた演習場に入る…「10キロ以上あるなぁ」ボソッと呟いた
「今晩は演習場内に現示を出したくない、って師団からの統制でね…」「…まぁ上から来た話なら飲むしかないですな」と頭を掻きつつも頷く近藤曹長であった

「というわけで、明日の起床は0400。廠舎出発は0430だ」と仮設敵の皆に達する
「朝メシは帰ってからになる。足りないと思う者は、今のウチに売店で何か買っておけ」演習場の廠舎には小規模な売店があり、演習部隊が入る時だけ近くの駐屯地の売店などから店員が来るようになっている
「また早いな~」「ま、昨日よりマシか…」「パンとか売ってるかな?」と隊員たちもやや渋い顔
しかし明日で演習も終わり、そう思えば昨日よりはるかにマシである
夕飯を食べて早めに寝床に付く隊員たち、昨日とは違いほぼ全員が寝息を立て始めた
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

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