新軍事ドラマ:「中隊本部」
どこにでもある(?)陸上自衛隊普通科中隊の日常を描く
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初一本:その14(完)
「アンタ、副将戦の時に『副将、負けてくれ』って思ってたろ?」
「!」ズバリ指摘されドキリとする佐々木3尉「え、あ、いや…」と返答もしどろもどろだ
「試合場の向かいでずっとアンタの顔を見てたんだよ。表情を見てればだいたい何を考えてるかわかるさ」さすがベテランの銃剣道選手である
「…まぁ…少しは…」と渋々ながらも認める佐々木3尉、それを見て准尉は笑う
「みんな思うことだ。自分がチームの負けを決めたくはないからなぁ…それでも」そう言って真剣な顔を向ける
「指揮官がそんなことを思っちゃダメだ。みんなアンタの顔を見るんだから、堂々としないとな」
「はい、それはもう…」大将戦に向かう前の皆の視線を思い出し、佐々木3尉はうなずいた

「ま、アンタはいい指揮官になれるよ」短くなった煙草を煙缶に投げ込む
「お世辞にもアンタの試合は格好良くなかった。ハァハァうるさかったしな。でも気迫はすごかった…ああいう姿を部下に見せられる幹部は、いい幹部になれるさ」
「そうですか…?」「そうさ、オレが別の連隊で陸士の時に同じように銃剣道の試合で頑張ってた防大出の幹部がいてな。その人もよく頑張ってたよ」
「へぇ、まだその人は自衛隊にいるんですか?」その言葉を聞いてニヤリと笑う「今の師団長さ」「あ、そうなんですか?」
師団長は訓練には厳しいが、非常に部下想いであるという噂がある「部隊でもけっこう若い連中に慕われてたよ。ああいう幹部をアンタも目指すべきだな」
そう言ってスッと立ち上がる准尉
「あの気迫があればアンタはいい幹部になれるよ。これからの自衛隊は厳しい任務も増えるだろうけどな、今日のことを忘れなきゃ、どんな任務でも大丈夫だ」
「わ…わかりました」そう言って佐々木3尉も立ち上がる
「ま、元気でやってくれぃ。オレは楽隠居させてもらうさ。じゃな」と言い残して片平准尉は背中を向けて、片手をヒラヒラと振りながら立ち去っていった

「お疲れ様でした!」そんな准尉の背中に、10度の敬礼を向ける佐々木3尉であった


さてそれから数ヶ月後…
「はい、第3教習はじめ」「はぁ…ひぃ…」
体育館で銃剣道の防具に身を固めて汗を流すのは、銃剣道錬成隊に入ることになった佐々木3尉
そして錬成隊のコーチには、定年退官したはずの片平(元)准尉だ
「じゅ、准尉は仕事しないで大丈夫なんですか…」「もう准尉じゃないって、今はただの『片平さん』だよ」そう言って皮肉っぽく笑う
自衛官の定年は早いので、ほとんどの人は退職後に年金受給年齢まで別の就職先で働くことが多い
「オレはかみさんの実家の仕事を手伝うことになってな、けっこう暇な時間ができるんだよ。だからこうやって非常勤コーチができるってワケだ」

「ひぃ…はぁ…これはキツい…」強いだけあって(元)准尉の訓練は厳しい
連日足腰が立たなくなるまでしごかれる佐々木3尉であった

「もうカンベンして…orz」

~完~
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

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