新軍事ドラマ:「中隊本部」
どこにでもある(?)陸上自衛隊普通科中隊の日常を描く
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初一本:その12
「別れ!」審判の合図で剣先が触れる程度の距離まで離れる
「はじめ!」の声と同時に佐々木3尉が突っ込み、片平准尉がそれをかわす…同じような光景がもう2分近く続いている
「泥仕合だな…」と呟く野村2曹「まぁ初一本しか教えてないから、こうなるのはわかりきってたんだけどね」
初一本で突っ込んでくる相手に対する返突は意外と難しい。全力かつ全速力で突いてくる相手に対して、中途半端な払い技は自殺行為となりかねない
初一本には初一本で返すのが一番早いが、これも相打ちか下手したら負ける可能性もある
先にカウンターで突いてしまえば早いが、若い佐々木3尉の勢いに片平准尉はなかなかタイミングが合わないのだ
疲れてきて勢いの落ちたところを仕留めよう…と片平准尉は考え、佐々木3尉の初一本を外すことに専念している
間合いが狭まり鍔迫り合いになること十数回、佐々木3尉の呼吸もかなり激しくなってきている
(そろそろかな?)さすがに准尉も疲れてきた(仕留めるか…)鍔迫り合いで押してくる佐々木3尉をいなして、狭い試合場の中をくるくると動き回る
「待て!」見かねた審判が2人の間に入った

短い鍔迫り合いや膠着状態の場合は、その場で2人を少し離して試合を再開させる「別れ」が使われるが
一旦結節を設けたい場合などは、開始線まで2人を戻す「待て」がかけられるのだ

呼吸も荒く開始線まで戻る佐々木3尉、こちらはまだ余裕の片平准尉
(そろそろ決めさせてもらうか)何本も初一本を受けてきて、だいたいのクセや速さは掴んだ
次に初一本で突いてきたら、剣を払いつつ突きを入れて相手の突進を止める。得意技の返突で試合を終わらせよう
何十年もやってきた銃剣道、ここでキレイにまとめるのも悪くない…そう思いつつ、片平准尉は剣を構えた

「はじめ!」審判の旗が振り下ろされた
「やぁ!」バカの一つ覚えのように、佐々木3尉は初一本で突っ込んできた
内心鼻で笑い、片平准尉は突き出されてきた剣を払った…
が、佐々木3尉の木銃は弾かれなかった

初心者にありがちな左手に力が入るクセ、これが剣の軌道を安定させたのだ
剣の勢いを甘く見た准尉の払いでは力が弱すぎた…と気付く間もなく、佐々木3尉の剣が片平准尉の胸当てに突き刺さった
条件反射のように体を捻り剣を外そうとする准尉、しかしその前に佐々木3尉は剣を引いて残心の構えを取った
主審の持つ赤旗が上がり、2人いる副審のうち一人も赤旗を高く掲げた

「勝負有り、止め!」主審の声が響く、と同時にひときわ大きな歓声が沸き上がった
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

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