新軍事ドラマ:「中隊本部」
どこにでもある(?)陸上自衛隊普通科中隊の日常を描く
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
自衛隊法第83条:その17
「えーと、県道55号線との交点を右折してだね」「これですね、右よし、前方よし…」
健康に悪そうな排ガスを吹き出して、ジープはN県の田舎道をひた走る
ドライバーは田浦3曹、助手席には前田1尉、後部座席には旅団から派遣された施設科の陸曹が一人
「いい景色だねぇ~ずっと続く田んぼ、遠くの山には冠雪、典型的な秋晴れ、まさにドライブ日より!」少しはしゃぎ気味の前田1尉
CPの中より外に出てる方が気が楽なのか、いつもよりよく喋る
「仕事じゃなけりゃいいんですけどね」「ん?な~に?」小声で呟いた田浦3曹の愚痴は、ジープのエンジン音にかき消された
(ま、たまにはドライブもいいか…)豪雪地帯で米所のN県は確かに風光明媚だ(災害派遣が終わったら、ドライブにでも来ようかなぁ…)
北方機動演習で北海道に行ったときも同じ事を考えたことを思い出し(そして未だに行ってない)、苦笑いする田浦3曹だった

1時間ほどジープを走らせて、一行はK市の市役所に到着した
出迎えは地味な色のスーツに薄くなった頭、太いフレームのメガネをかけた50代の男性だった。典型的な「地方の市役所職員」に見える
「お待ちしておりました、私は助役の石川と申します」そう言って助役は名刺を差し出した
「あ、これはどうも。私は前田と申します。災害派遣部隊の中で情報幹部という役職をやっておりまして…」こちらも名刺を取り出し交換する
連隊本部の幹部ともなると部外との接触も多く、そのために名刺を作っている人も多い(各中隊長や付准尉、広報関係者も同じ)

助役の案内で市長のところまで案内された3人、広い会議室のようなところに通された
意外なことに会議室には市の職員、しかもかなり上級の役職らしき人々が集まっていた
「や~お待ちしていましたよ自衛隊さん!」満面の笑みを浮かべて手を差し出してきたのが例の市長らしい。そのまま田浦3曹の方に向かってきた
「あ、いやこっちが…」困惑する田浦3曹。隊員同士なら誰が一番えらいのかは階級章で一目瞭然だが、民間人の、しかも自衛隊反対派だった市長にはわからないようだ
スッと横から手を差し出す前田1尉「はじめまして市長」と部外向けのにこやかな笑顔で対応する
握手を交わす市長と前田1尉、そのシーンを市の広報カメラマンが撮影した

撮影が終わったとたん、市長の態度が急に冷たくなった。笑顔を消すと「じゃ、後は石川に話を聞いてください」そう言い残してさっさと会議室から出て行った
職員たちも「面倒な仕事が終わった」とばかりにそそくさと会議室を後にした
取り残された3人の隊員と不運(?)な助役
「なんだかなぁ」ぼそり、と田浦3曹が呟いた
スポンサーサイト

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
copyright © 2005 新軍事ドラマ:「中隊本部」 all rights reserved.
Powered by FC2ブログ.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。