新軍事ドラマ:「中隊本部」
どこにでもある(?)陸上自衛隊普通科中隊の日常を描く
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自衛隊法第83条:その13
さて、そんな炊事班の任務は当然ながら『炊事』だ
朝食が被災者の口にわたるのが午前7時…0700時、輸送の手間を考えるとその1時間前には料理が完成していないといけない
さらに米を炊き始める時間を考えると、炊事班の朝は自然と早くなる
まだ暗い午前3時45分…0345時、炊事班の長でもある本管中隊の斉藤曹長が起きてきた
「う~ん…けっこう寒いなぁ」昼間はそうでもないが、この時間となると冷え込みがキツい。特に50才を越えた曹長にはこの寒さは酷だ
「おはやぅございまふ~ふわぁ…」「おはよーす」「あぁ眠い…おはようございます」同じような時間にゾロゾロと炊事要員もやってきた
監視要員も兼ねて一人が炊事車を引っ張ってきた大型の3t半トラック荷台で寝泊まりしているが、他の隊員はスタジアムのフロアや選手控え室などに泊まっているのだ
「おぅ、おはよう…眠そうだな、どした?」炊事車の上に乗って飯炊きの準備をしながら斉藤曹長が尋ねる
「どこの補給隊か知らねーけど、夜中までうるさくてうるさくて…」「あいつら、夕方の仕事だから朝は9時くらいまで寝てるらしいっすよ」「メーワクだなぁ…」
野外風呂を運営する補給隊の仕事は基本的に昼以降だ。炊事班とは対照的な動きをする
「だいたい動きが全然ちゃうのに、一緒のトコに泊めんなやなぁ…旅団もテキトーやな」こちらも珍しく不機嫌そうな井上3曹
「ま、そう言ってやるな。これだけの部隊を捌くのは難しいさ…さて」長靴に履き替えて白いエプロンを羽織り、頭には手ぬぐいや帽子をかぶった面々を前に斉藤曹長が口を開いた
「今日のメニューは昨日の指示通り、まずは朝食を仕上げてしまうぞ。逐次昼食以降の切り込みを…」
指示を受け隊員たちはそれぞれの作業にかかっていった

夜が明けて炊事所にも朝日が差してきた。炊事班も朝食を作り終わり、昼食を作る時間までしばしの休憩だ
そんな中、渋い顔をした連隊補給幹部・加賀見2尉が1X旅団司令部の隊員を連れて斉藤曹長のもとを訪れた
「お、何事ですか補給幹部」「お疲れさんです斉藤曹長…ちょっと厄介ごとなんだけど頼めるかな?」何事かと炊事班の隊員たちも顔を見せる

「実はね、ウチが担当している避難所に工場で働いていたイラン人が10人ほどいるんだ…」加賀見2尉の話を要約すると…
避難所にいるイラン人たち、最初のウチは震災のショックからか特に何も考えずに食事を取っていたが、避難所生活も落ち着いたときにふと気づいた
「この料理って、豚肉を使ってるんじゃないか…」ということに
彼らはイスラム教徒であり、豚肉に関しては特に厳しい戒律がある。避難所でもちょっとした騒ぎになったらしい
「…工場の方も避難勧告が明後日にも解除される予定で、そこから先はウチの関与するところじゃないんだが…」「つまりそれまで、豚肉を使わない料理を10人前用意してほしい、ってことですか」
う~ん、と唸り腕を組む斉藤曹長「まぁ材料に豚肉を使わないだけなら可能でしょうが…おい井上、ここ数日のメニューってどうなってる?」
食事のメニューは上級部隊の栄養士が決めている。材料もそのメニューに従って届く
「はい、メニュー表です。タイミングのええ事に今日の晩飯は『豚肉のショウガ焼き』ですわ」「ありゃ、ホントだな」
話を聞いていた炊事班の面々も顔を見合わせる「面倒な話だな…」「豚肉が食えないんなら日本に来なきゃいいのに」
「とはいえ、どうにかしないといけないのは確かだしな」少し考えて斉藤曹長は大島士長に声をかけた
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