新軍事ドラマ:「中隊本部」
どこにでもある(?)陸上自衛隊普通科中隊の日常を描く
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自衛隊法第83条:その6
「なぁ田浦…待機っていつまで続くんだ?」先遣隊を見送る列の中、小野3曹が聞いてきた
「さぁ?長くなると思いますよ。出動はなくても待機、ってのが最近の自衛隊のトレンドですからね」
たとえ出動することが無くても、一度かかった待機命令は簡単には解除されないのが常だ
災害発生時の被害が小さくても、その後の2次災害や被害の拡大などでいつ出動命令が下るかわからない。解除命令は上級部隊から下りてくるので、末端の部隊はなかなか待機状態を解く事もできない
当然その間、営内者は外出できない状態が続く。営外者なら帰宅はできるが遠出はできない…という状態が続くことになる

「まいったなぁ…用事があるんだが」「大事な用なら先任に言ってみたらどうです?なんか『柔軟に対応する』みたいな事を言ってましたよ」
『外出できない』といってもそれはそれ、条件付きでなら外出できないこともない
「ん、いやまぁそんな大事な用じゃないし…」珍しく言葉を濁す小野3曹に「?」と疑問を抱く田浦3曹。とその時、列の先頭の方から歓声が聞こえ、先遣隊の車列がゆっくりと前進してきた
「ま、後で先任がみんなの前で言うと思いますよ」そう言って田浦3曹は車列に顔を向けた

「…というわけで基本的には営内待機なんだけど、大事な用事のある者とかは私に言ってきてくれ。そんな遠くに行こうってんじゃなけりゃ外出許可は出るからね」と先任は笑いながら言った
先遣隊も出動して師団からの追加派遣命令も無いので、残った隊員は取りあえず解散することになった。今は取りあえずの終礼だ
解散といっても営内者はそのまま待機、営外者も別命あるまで待機だ。自習室や娯楽室、営外者室や営内者の空きベッドなどが取りあえずの寝床となる

中隊長が皆の前に出てきて口を開く
「テレビのニュースとか見てると現場はけっこうひどい状態らしい。おそらく追加派遣はあるモノと見ておいてくれ…今のウチにいつでも動ける準備をしておくように。以上、解散!」

ぞろぞろと居室に帰っていく隊員たち。しかし中隊本部の要員はそのまま事務室に戻ってきた
「う~ん…どうなるのかねぇ」背伸びをしながら先任が言う「今動かせる天幕は…発電機は…」「コイツとコイツが出たから…人事日報を…」各係陸曹がそれぞれ見積もりを始めている
「車の運転できるヤツと…人命救助セットの使用ができるヤツ、それくらいピックアップしとかねぇとな」「そうですねぇ…」訓練陸曹の中島1曹と田浦3曹も名簿片手に編成を組み始めた
次にどんな要求が来てもすぐに名簿を出せるようにするためだ
「あ、炊事できるヤツも出しといて」声を掛けてきたのは給養陸曹の川井2曹だ「炊事…あぁ、確かに必要かもしれませんね」納得する田浦3曹
「それと、炊事者を引っ張っていけるヤツも…ってこれは車両の水上2曹に頼んだ方がいいか」「そうですね。でも引っ張っていけても使えない人間だと大変ですよ」そう言って田浦3曹は何やら簿冊をめくる
「…あんまりいませんね…」「炊事要員の錬成、あんまりしなかったもんな。鍛えた陸士も退職したし…」う~んと頭を捻る二人
「ま、名簿だけは作っておきます」「そうして、いざとなったらオレも行くし」

ここで作った名簿が後で役立つ事を、知るよしもない田浦3曹であった


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コメント
この記事へのコメント
田浦さん、トレンドまでも把握しているとはっ!
2006/09/26 (火) 23:08:29 | URL | さすが #-[ 編集]
訓練陸曹はいろいろ先読みしないといけませんからねぇ
もっと先を読まないといけないのは人事と給養ですが
2006/09/30 (土) 00:01:04 | URL | 笑う三警補 #0ywrcfEE[ 編集]
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